2016年11月9日

天才ばーちゃんシェフ・マルツィア Ristorante Takada 高田シェフ寄稿 Vol.1



~ アドリア海が目の前いっぱいに広がるベランダから、砂浜で遊ぶ子供たちに呼びかける母親。
〝ご飯ですよ~ もどってらっしゃ~い〟
それに元気いっぱいに手を振りこたえる少女。
明るく活発で、素敵なものを何かしら見つけては澄んだ瞳を輝かす、幼いころのマルツィアばーちゃんがそこにいる ~

いつものように仕事の後ゆっくり食事をとりながら、マルツィアばーちゃんの昔話を聞いている。オレはばーちゃんが時折話す、彼女が子供だった頃(50年前のイタリア)の食の風景がとても面白くて、機会があるごとに当時の話をしてくれと催促した。

話し出すマルツィアの明るい色の瞳の奥に、当時の風景が映し出される。


マルツィアは13才の時から、家事をすべてやらねばならなかった。突然倒れ、亡くなってしまったお母さんの代わりに。大変で辛い思いも沢山した、と言いながら懐かしそうに柔らかな表情で当時を振り返る。
とても優しくて穏やかだったお父さん。いつも家事に縛られているマルツィアが遊べるようにと、土曜と日曜は夕食を作ってくれた。お父さん特製トマトのリゾット。クアドラッチ(お父さんががんばってのばした生パスタ)の入ったスープ。ソーセージとブロッコリーの煮込みをかけたポレンタ。お父さんと4人の兄弟で囲んだ、あの食卓。懐かしい、お父さんの味の記憶。

昔はもっとご近所同士が親しくて、みんな家族みたいだった。
近所のおばさん達は、幼くして母親役をつとめるマルツィアにいろいろと教えてくれた。

パスクア(復活祭)の日にどの家からも漂ってくる、チーズ入りのパンを焼く香り。いつのまにかその風習は廃れてしまったが、あの香ばしい香りは今でも忘れない。

少し坂を登った所のフランチェおじさんのお店から聞こえてくる〝トーン トーン〟という響き。
ストッカフィッソ(干しダラ)を下ごしらえする為に包丁でたたく音だ。

毎週金曜日(干しダラを食べる日)の数日前になると、家の中まで聞こえてくる〝フランチェ、うちは何匹よ!〟と注文する近所のおばさんたちの元気な声。それに加わる自分の声。今も耳に残り、思わず微笑んでしまうその当時の音。


話せば話すほど思い出がよみがえり、ばーちゃんの目はますますキラキラ輝く。
「もっと小さかった頃、お母さんがいた頃はねぇ・・・」

毎年ナターレ(クリスマス)の朝、教会に行ったあと家族みんなで作ったカッぺレッティ(詰め物パスタ)。お母さんが麺棒でのばしたパスタに、お父さんと兄弟達とで詰め物をしてカッぺレッティに形作る。貴重な数少ない、お母さんとの思い出のひとつ。



「そうそう、お母さんの作った青魚のラグーのパスタの美味しかった事といったらなかったわ!」

あの時代が、マルツィアのこころの中に今でも鮮やかに生きている。
味、香り、音、風景・・それらは彼女が作る料理のひとつの風味になっている・・・

お、気がつけばもう夜中の1をまわっている。ばーちゃんも眠そうだ。
「さあ、もういい時間だよ。」
立ち上がり食べ終えた皿を手に持ち、キッチンのほうへ歩いて行く。
後ろからばーちゃんが話しかけてくる。
「マサ・・ 日本帰って落ち着いたら、連絡しなさいよ。」
「ああ、たぶんね。」
「結婚したり、子供が出来たりした時は、写真送って見せてね。」
「ああ、時間があったらね。」

「まあ!たぶんとか時間があったらとか、このカッティーヴォ(悪人)!」



今回はPOP UP JAPONとのコラボでお世話になっているリストランテ高田の高田シェフに寄稿いただきました。高田シェフが8年間のイタリア修行最後の修行先であったリストランテ・コスタレッラの天才ばーちゃんシェフ・マルツィアとの思い出を綴っていただきました。Grazie!


さて、そのコラボPOP UPが近づいてまいりました!11月21日(月)10時~14時30分

☆自家製バジリコペースト”ジェノベーゼ”
☆自家製トマトソース ”サルサ ポモドーロ”
☆お店で使っているパスタ ”Liguore”

☆ブッラータチーズとパルマ産生ハム、トマトのセット
を特別販売いたします!
びっくりサプライズ商品も登場しますのでお楽しみに♪



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